弁護士 山田訓敬が、遺産分割の前提問題について解説いたしました。第4回は、遺産の帰属性(1)「相続財産に属さない財産・権利」。動画でわかりやすくご説明させていただきました。ぜひ覧ください。

皆さんこんにちは、あなたの悩み思い出に、弁護士の山田訓敬です。
本日は遺産分割の前提問題として解決しておくべき事項として、遺産の帰属の問題があります。
遺産分割、これは遺産を分けるという問題ですが、当然遺産の範囲に入らないものについては分けることができません。
そういう意味で本当に遺産なのかというところ、これを解決しておくことは非常に重要です。

まず相続財産に属さない財産・権利、これにはどういったものがあるのかっていうのをご説明したいと思います。
一見被相続人が持ってた権利なんだけど、実は相続人に承継されないよ、というような権利のことです。

一身専属権

一つ目が一身専属権と言われるものです。

例えば使用貸借に基づく借り主の地位と言えばいいですかね。具体例で言えば例えば亡くなられたお父さんが生前ご友人から車をタダで借りてたという風な事例を思い起こしてください。

そしてお父さんが亡くなられて、相続人の息子さんがいたとしたら、その息子さんがそのままその自動車を乗り続けることができるのかと言うとそうではありません。あくまでその亡くなられたお父さんとそのご友人との信頼関係に基づいて車を貸してたと、家賃を取った賃料をとってたとかじゃないですから。いわゆる無償で貸してたと、使用貸借として貸してたといった場合、やはりそういう場合には相続の対象になるのではなくそれは戻しなさいよというように言われてます。

そういったものは一身専属権です。

あと一身専属権で言われるのは、例えば扶養請求権とか財産分与請求権とかそういったものもこういう一身専属権、相続されない権利だっていう風に言われます。

祭祀財産

2番目として祭祀財産というものがあります。これは仏壇とかですね位牌とかそういったものです。それについては基本的には被相続人、亡くなられた方が、誰々が跡継ぎだと指定しなさいと、で指定がない場合は慣習に基づいてしましょう、という風に言われております。

例えばお墓は長男、仏壇は次男、位牌は三男、というようにバラバラに遺産分割の対象になるという風になったら、それはまつりごとの意味をなさないんじゃないかっていうことで、そういう風に遺産分割対象とならないという風に言われています。

遺骨

後は遺骨ですね。遺骨についてもやはり遺産分割の対象になりません。相続財産に属さないものになります。ただ実際はですね相続人間で、例えば分骨して下さいとかそういう争いがあったりもします。そういう場合の話し合いで解決するっていうことは私も実際経験ありますし、それが直ちに違法だということではございません。

香典

あとは香典ですね。これはよくもめるんですけれども、香典っていうのは基本的に遺産には属しません。

香典というのはあくまで喪主、祭祀主催者に来訪者の方たちが贈与をしたんだというふうに考えられています。

だから喪主の権利であって、香典については遺産で分けるべきものではないと言われるんですけども、実際はですね香典が少なかったりした場合にそれで葬儀費用とかを香典で賄う場合がありますから、では葬儀費用がこれだけかかった、で香典はこれだけしかなかったからその穴埋めを相続人間でやってよとかいうような議論が出てくることはあります。ただ法律上の理屈から言うとこの遺産の問題とはならないんですね。

死亡退職金、生命保険金請求権

あと問題になってくることが死亡退職金とか生命保険金の請求権、これについては基本的に遺産の相続財産になりませんよということを言われるんですけども、これについてはちょっと長くなるので後で別立てでご説明したいと思います 。

以上、遺産分割の前提問題の遺産の帰属で相続財産に属さない財産あるいは権利についてご説明しました 。