あなたの悩みを思い出に、弁護士の山田です。 今日は平成30年の相続法改正、そのうちの相続させる旨の遺言と第三者への対抗力に関して見直しされましたのでご説明します。

相続させる旨の遺言の効力等に関する見直しについてということで、例として相続・遺贈により長男が被相続人所有の不動産を取得する場合を考えてみましょう。被相続人がいて、債権者が1000万円を亡くなられた方に貸してたというような場合を考えてください。相続債権者って言うんですけれども、不動産があるとしましょう。長男・次男が相続人としていて、被相続人が長男に例えば不動産全部を長男に遺言して渡す、相続させるという遺言をしたという風に考えてください。

その場合にどうなるのかというと、相続債権者は、不動産の名義が被相続人名義のままの場合は、相続債務の回収のために次男が相続した法定相続分の差し押さえをしようという風に考えたとしてください。遺言があったんだけれども登記をしなかった。不動産の登記の名義変更していない段階で、相続債権者が亡くなった方の不動産の登記を見たら、亡くなったままになってる。そうすると当然1/2と1/2の持分があるだろうということで、次男の持分について相続した法定相続分の差し押さえをしようと考えました。その場合に実は遺言書で相続させるという遺言で全部長男がもらってました。長男は不動産は全部自分のものだから、次男の相続分について差し押さえできませんよということを言って、果たしてその場合にどうなるのかと言うと、これまでの判例では例えばこれが遺言じゃなくて、この長男次男が遺産分割で話し合って長男が全部もらっていいよとした場合、そういう場合には登記をしていなかったら対抗できない。長男は自分のものですよっていう風に相続債権者に言えなかったんですね。遺贈の場合、遺言書で渡すっていう風になってた場合も同じ理屈だった。

ところが相続させるっていう遺言の場合だけ、これまでの判例はこちら(長男)が優先する、登記をしようがしていまいが長男の方が相続債権者に対して自分が遺言でもらったんだから相続したんだからっていうことで勝ちますよという風になってたんです。 ところがそれだと相続債権者は遺言の中身とかわからないわけですから、それじゃあ相続債権者あるいはその相続人以外の第三者・利害関係人についてはそういうのは酷だろうと、遺言書の中身もわからないのにいきなり相続させるという遺言書があったんですよって言われたとしてもそれはかなわんなぁという話なんですね。

そこで改正法では 見直しがされて、相続させる旨の遺言についても法定相続分を超える部分については、登記などの対抗要件を具備しなければ第三者に対抗することができないという風にされました。先ほどの遺産分割や遺贈の場合と同じように、相続させる旨の遺言でも登記を先にしているか後にしているか、要するに差し押さえがある時に登記をすでにしていたかどうか、これによって決めていきましょうっていう風になりました。これによって遺言の有無、および内容を知りえない相続債権者とか債務者等の利益や第三者の取引の安全を確保しましょうということで、登記制度や強制執行制度の信頼性を確保するということにも繋がるんじゃないかということでこういう改正がなされました。
これまでの取り扱いと真反対な取り扱いになりますので、充分ご注意頂きたいと思います。以上で相続させる旨の遺言についての改正についてご説明しました。

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