弁護士 山田訓敬が、遺産分割の前提問題について解説いたしました。第5回は、遺産分割の前提問題05-1~遺産の帰属性(2)「遺産分割の対象財産かどうかが問題となるもの(上)~いつの時点での財産?」動画でわかりやすくご説明させていただきました。ぜひ覧ください。

みなさんこんにちは、あなたの悩み思い出に、弁護士の山田訓敬です。
今日は遺産分割の前提問題として遺産の帰属性、どういう財産が遺産分割の対象になる財産なのか、その前提としていつの時点での財産、これが相続財産の遺産分割対象になるのかというのをご説明したいと思います。

遺産分割時にない財産は?

 

いつの財産、例えば被相続人が亡くなりました、おじいちゃんが亡くなりました、そのおじいちゃんの遺産を分けましょうという時に、おじいちゃんが亡くなった時点での財産なのか、それとも実際に相続人たちが集まって遺産を分けるときにあった財産、これが相続財産になるのか、遺産分割の対象となる財産になるのかということですけれども、結論から言うと実務では遺産分割時説を取っております。

つまり遺産を分けるときのその時点であった財産が遺産分割の対象となる財産だという風に言われております。

亡くなった時点から遺産を分ける時点までのタイムラグがある、この間に例えばよく問題になるのが、おじいちゃんが美術品を持ってた、ところが分ける時にはもうなくなってるというような場合、本当はあった美術品、これは遺産分割の対象になるのかというと、もう分けるときない以上は遺産分割の対象にはなりませんよという話なんですね。

じゃあその美術品はどうするのかと言うと、もちろん誰が美術品を持ってっいったのか、美術品が本当にあったのかそういったものを、例えば民事の裁判で証明できて実際それが認定されたら、その時点で遺産分割の対象になってくる可能性はあるんですが、実際にはもう現存しない以上は遺産分割の対象となる財産にはなりませんよというのが原則です。

使途不明金

あとよくある問題としては使途不明金といったものがあります。これは亡くなってから遺産を分ける間のタイムラグがある期間に、誰かが預金を下ろしてそれを使い込んでたとか、あるいは 死亡する直前におじいちゃんの預金を下ろしてた、誰かが使い込んでるとか、こういう場合どうなるのかというと、その使い込んだお金については実際遺産分割の時にはすでにないわけですから、それについては遺産分割の対象にはならないということになります。

じゃあどうするのかというと、実際は民事の裁判で不当利得返還請求とかそういったものをして、実際に別立てて責任追求をするとかいうことは可能になってきますが、あくまで遺産分割の対象とはなりませんよということになります。

以上でいつの時点での財産が遺産分割の対象となるかをご説明しました 。